Domaine de Galouchey、庭のワイン
どこか懐かしい味がする「ヴァン・ドゥ・ジャルダン/庭のワイン」。悠久の時間と魂がしっかりとこもる、マルコ・ペルティエとその盟友たちの渾身のワイン。
昨年の秋、エッフェル塔ふもとのそばに、パテのパイ包みをスペシャリテとする小さな店がオープンした。オーナーは、マリオンとヨアンのラストル夫妻で、店の名前は苗字を取って『Lastre/ラストル』。サブネームは『Sans Apostrophe/アポストロフのない』だ。アポストロフがつくとL’Astreとなり、天体という意味になるから、「そうでなはいLastre」と付け加えた命名で、店のチャーミングなエスプリも伝わってくる。
マリオンが販売を担当し、オープンキッチンになっているブティックの奥のアトリエでは、ヨハンが働いているのが見える。この店のパテのパイ包みの美しさは、まるでカンディンスキーの絵のようだ。季節の7種の野菜を散りばめた、鮮やかなグラデーション。チキンとレモン、マスタード、エストラゴンのパテはパステルカラー。フォアグラとヘーゼルナッツ、ピスタチオの入ったジビエのパテは、より深みのある風合いだ。味わいも、モダンで抜群。「日々、進化するための努力は欠かしていません」とヨアンは言う。
ヨアンは料理人で、マリオンは家具職人。2人のストーリーは、2011年大晦日に始まった。ヨハンは『トゥール・ダルジャン』に務めており、大晦日の大晩餐会の仕事が終わったあとのカウントダウンの祝いで2人は再会した。そして恋に落ちた。ヨアンが毎年開催されるパテのパイ包みの世界選手権に参加することを決めていた2012年の前夜。ヨアンは勘が働いて、マリオンに選手権に一緒に挑戦することを提案した。マリオンははじめ冗談と思ったが、ヨアンは真剣そのもの。そして、それぞれの職人芸と創作力を合わせて、世界選手権に挑んだのだ。
2012年12月、ヨアンは選手権で優勝を果たす。マリオンは「私たちのはじめての子供よ」と冗談まじりに言う。そのときのパテのテーマは『昔の農場』。現代では忘れられてしまっているかもしれぬ自然の素晴らしさを込めたのだ。自分たちが作る季節の食材を食したという、自分の食べているものがどこから来たかを知っていた時代があった。農場にはすべてがあった。それで、ヨアンはそれをパテの中に詰めた。鶏小屋や菜園から、小麦畑、森やブドウ畑まで。つまり、豚、鶏、鴨、仔牛、兎、鳩、フォアグラ、ニンジン。それに、樅の木のアルコール、ワインも。グルマンなノアの箱船のように。パイ生地には、茸のパウダーで染めた生地でイラストを入れた。それはマリオン作で、型もオリジナルを作らせた。そしてそのパテを自分たちで編んだ柳の籠の受け皿にのせた。
「いつかマリオンと、使う素材をすべて手に入れることができるような、農場を持つことができたらと思っています。豚も鶏もいて、卵も毎日とれれば、菜園もある。ユートピアといわれるかもしれないですが、僕たちの夢なんです」。
ユートピアに向けたその第一歩こそが、『ラストル』だった。美味しく美しいパテのパイ包みは、ヨアンの積み重ねた経験の果実である。ヨアンは、料理の世界の他に、さまざまな食にまつわる職にも興味を持って、積極的に学びに行った。菓子、チョコレート、パン、肉屋など。そして自分自身の知識と経験を広げた。パテは、こうしたすべての仕事の結晶であるといっていい。パテにおいて大切なのは、3つのハーモニーという。バターのよい味わいのするサクサクとしたパイ生地のテクスチャー。しっかりと下ごしらえをしたブイヨンで作るジュレと、そのちょうど良い割合。詰めるパテは、火が入りすぎではだめだ。玉ネギのコンポートとローストチキンの皮などのような柔らかな部分と、きちんとした口当たりを感じる肉が入っているという2つのテクスチャーがあること。
ラストルでは、いつも新作に出会える。例えば、昔の旧い型で抜いた豚の形をしたリエットや、しっかりとした厚みのある生地のプラリーヌのタルトなど甘い味のもの。あるいは赤ワインで煮込んだ牛肉のパルマンティエのフラン仕立て。それに、常に特別注文も受けている。例えば、先日訪ねた時は、大きな魚のパテに取り組んでいた。魚の鱗に見立てた小さな生地を3色つくり、ベースとなる生地に貼り付け、中に魚のパテを詰める。まるで魚の背のように見立てた傑作。この鱗の仕事は、細工仕事に長けたマリオンが担当した。
店には活き活きとした空気が流れている。しかし慎み深さも備えている。彼らの師や友人たちも足しげく通うのもそのためだ。「マリオンといると、新しいイマジネーションが次々に沸いてくる。でも無理せず自分たちのリズムを守って、もの作りをしています」とヨアン。マリオンとヨアン、そして彼らを取り巻く人々の愛に満ちた、現代のおとぎ話のような店だ。
住所:188 rue de Grenelle 75007 Tel: 01.40.60.70.27 営業:10:00~14:30、16:00~20:00(火〜土)休:日・月
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