マリオンとヨアン・ラストルのLastre Sans Apostrophe
パイ包みのパテをスペシャリテとする7区の惣菜店『ラストル』。マリオンとヨアン・ラストル夫婦が紡ぐ、美味しさいっぱいの良店のエスプリをお伝えします。
パリ左岸にある創業1967年のレストラン『ル・デュック』は、はじめてフランスで生魚をサービスした店として知られる、老舗中の老舗だ。今年3月、創業50周年を迎え、マダムであるジャニン・ミッケリから息子のドミニックが店を受け継いだ。その50周年記念のパーティーには、ミシュラン・ガイドのディレクター、ミカエル・エリス氏をはじめ、業界の重鎮が大勢集う、佳き日となった。
創業者であるジャン・ミッケリは、ヌーベル・キュイジーヌの時代に生きて、先見の明があり、改革者だった。彼が開発した、ホタテ貝とトリュフのカルパッチョ、スズキと鮭のタルタルは、以来店のエンブレムとなり、世界的にその名を知らしめることになった。店の常連客は、錚々たるものだった。フランソワ・ミッテランが通い詰める店でもあり、ジャン=ポール・ベルモンド、シャルル・アズナブール、あるいはカトリーヌ・ドヌーヴの姿もあった。
そして店のスターは、主人ジャン・ミッケリだった。当時はレ・アルにあった市場に毎朝出向いて、新鮮な魚を選ぶのは彼だった。店に戻ってくると、長靴に仕事着という姿から、パリッとした仕立てのスマルトのスーツに着替えて客を迎え入れる。プロ中のプロであり、エレガンスを纏う人だった。ジャンとジャニンの間には3人の息子がいるが、ドミニックが一番に、ジャンの面影を受け継いでいる。
ちょうど25年前に突然にジャンが亡くなり、店の表に出ることのなかったジャニンは、夫の意志を継続するため、店の主人となった。ジャニンの輝くような魅力ともてなしは、多くの客を魅了したろう。そして店を愛する従業員と常連客が、そばにいた。そしてもちろんドミニックも。彼はずっと、母のそばにいて、母を、店を支えてきた。そして今、彼はこの店を受け継いだのだ。
美しいマホガニーの壁の、時を超えた美しさのある内装の『ル・デュック』。ドミニックは、その歴史を継承しながら、さらに魅力のある店にしていこうと、瞑想し、静かに動いている。
「牡蠣入りのステーキ」。ドミニックが、この秋にメニューに掲載する予定のこの料理が、そんな彼のキャリアの第一歩だ。それは、30年以上前、『ル・デュック』のメニューで出していた、唯一の肉料理。ドミニックがこの料理を出すことにしたきっかけが、また粋である。たまたまあるレストランにドミニックが食事に出向いたとき、隣の客が、ドミニックのテーブルで『ル・デュック』の話をしていたのに、割り込んできた。「ブルーに焼いた牛肉のフィレに、さっとポシェをした牡蠣を滑り込ませ、コニャックで仕上げたソースが絡む、あの料理が忘れられない」と。そこで、ドミニックは1984年からデュックに務める料理長のパスカル・エラールに、この忘れられたメニューを再現するよう頼んだのである。
それは、まるで、海の幸のロッシーニ。グルマンの極致の料理は、 « 桁外れ»な『ル・デュック』の食卓に似合っていた。
243 boulevard Raspail
75014 Paris
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