Restaurant KEI小林圭とカマチ陶舗
今年2つ星を獲得した、Restaurant KEIのオーナーシェフ、小林圭。揺るがぬ精神と確固たる技能で、世界一のレストランを目指す。それを支えるカマチ陶舗の皿とは。
拙者がはじめてクリスチャン・ル=スケールの取材をしたのは、2002年。シャンゼリゼ大通りにあるパヴィリオン風の大邸宅、由緒あるレストラン『ルドワイヤン』を3つ星としたときだ。1999年に当レストランを引き継いで、たった4年目の快挙。そのころからすでに15年経ったが、ル=スケールのモダンな皿作りは、昔から群を抜いている。ブルターニュ生まれで、魚料理には特に自信を持っていて、また色彩感覚溢れるグラフィックな皿作りは、新たな挑戦をかけたステージ『ル・サンク』にても、洗練を増している。2014年にパラス・ホテル『ジョルジュ・サンク』内『ル・サンク』のシェフに就任。15ヶ月目である2016年には、3つ星を獲得するという快挙をもたらし、ホテルとしても、その威光を放っている。
旬の素材、季節の移り変わりに従って、たくさんの料理を生み続けるル=スケール。そのクリエーションは幾多となく、そのためレストランで使う皿は白に限られるという。しかし、このカマチ陶舗の銀杏の葉が色づいたような、淡く鮮やかだが、同時に深みも感じられる黄色の皿を、見た時から気に入った。飾り皿にもいいかもしれない。そして、今回は、ちょうど秋の始めの料理と呼応すると直感して、盛ってみることにした。
薄切りにしたアーティチョークの芯、ケッパーもさっと揚げて、レモンとタイムの香りのインフュージョンをからめる。上には、チタンを控えめに散らした装飾が輝きを与える、アーティチョークのジュで作った薄いジュレを皮膜のように乗せた。ローズ・ニンニクの水滴をちらす。甘味が凝縮したアーティチョークの味わいと食感、まるで、アンチョビのような潮の味わいに変化したケッパー。少ない素材であるのに、まるで海に突き出す、大地の豊かさ、風景をそのままにいだいたような、スケールの大きさがあった。
「モダンであること」がル=スケールの口癖であり、信条である。モダンであるためには、世界を旅し、好奇心を豊かに行動することである。守りではなく、攻める。しかし、それを自分のものとし、表現するときに、ブルターニュの大地が育てたル=スケールの感性がにじみ出る。それは勇壮ではあるが、優雅。食べる人に感動をもたらす皿の力となる。
Restaurant Le Cinq
Four seasons hotel George V
31 avenue George V 75008 Paris
http://www.restaurant-lecinq.com
今年2つ星を獲得した、Restaurant KEIのオーナーシェフ、小林圭。揺るがぬ精神と確固たる技能で、世界一のレストランを目指す。それを支えるカマチ陶舗の皿とは。
アラン・デュカスグループから独立して、自身の店パピヨンをオープンしたクリストフ・サンターニュ。未知の世界と旅立つイマジネーションを皿に載せて。
3つ星に輝いて11年。自分にしか生み出せない料理と、生産者との絆の深まり。
DOMAは、11月12、13日、有田焼で知られるカマチ陶舗のイベントを、パリのレストランTOYOをお借りし、企画開催いたしました。
生誕400年の歴史を持つ九州の焼物の産地から最新の「有田」を輩出するカマチ陶舗。フランスのシェフたちに、革新的でモダンな世界観の皿を提供。シェフの感性と皿の個性との出会いを紹介します。