ラーメン・オアシス

シロップ水で乾杯!

パリの前衛的キュイジーヌを牽引する、レストラン『シャトーブリアン』のオーナー・シェフ、イナキ・エズピタルトが、その隣に『ル・ドーファン』をオープンしたのは2010年のこと。伝統を尊重しながらも、コードにはまらないタパス料理とナチュラルワインを出すワインバーとして愛されているが、イナキは、少し前から、一つの妄想にかられていた。それは、ラーメン屋をやってみたいという、どうしようもないヘドニスト的な欲望。そんなときに、パリにも2軒を構え、パリジャンを瞬く間に虜にした一風堂の山根智之に出会う。そして、あっという間にコラボレーションが成立したのだ。

 

オランダの建築家レム・コールハースが手がけた、全面大理石のハイパー斬新なインテリアに、コットンの赤暖簾がかかるという大胆な仕掛け。カウンターには、本日のシロップ水を入れた大きなピッチャーがドンと置かれていて、1杯1ユーロでサービス。このパステルカラーのシロップ水(ちなみに本日はミカン風味)に、紙のカクテル傘を刺して出されれば、まるでバカンス、海の家に誘われたような気分になる。

 

一風堂とのコラボで3種の麺

ここはフランスなので、メインとなるラーメンの前に、アントレも用意する。餃子の代わりのチーズとタピオカの揚げものとか、サラダ的なものとか。ところでメインのラーメンは牛肉と豚、ペスト(ベジタリアン向け)の3種。麺は、それぞれの味に合わせて異なる仕上げになっている。例えば、豚には赤ピーマン入りの細麺で、縮れていない。チョリソ風味のブイヨンにぴったりで、さっと喉ごしよくいただける。牛肉には、ブイヨンがしっかり絡むように縮れた麺だ。

 

ラーメンはラーメンだけれども、日本のラーメンとはほど遠い、インターナショナルスープといったらいいか。中に入っているのは、例えば、ヘーゼルナッツ入りの豚のミートボールだったり、レアの牛肉の薄切り肉だったり。スープには落花生入りもある。コリアンダーやミント、バジル、もやし、唐辛子を盛りつけた皿が添えられて出てくるのは、ベトナムのフォー的で、スープの器は韓国の銀皿だ。アジア大国のユートピアここにあり。陽炎のように魅惑的に浮かぶパリのオアシスは、バカンスの恋しいパリジャンを待っていてくれる。

 

Le Dauphin : 133 avenue Parmentier 75011 Paris

https://www.restaurantledauphin.net