豚肉礼讃友の会

オーベルニュ・ローヌ・アルプ地方から良質の豚を届けるポン・ドゥ・マルス

6月12日正午、アミカル・デュ・グラ会長フレデリック・グラセール=エルメの音頭で、友の会の幕が上がった。開催地はパリでも標高の高い19区メニルモンタンの丘にあるブノワ・カステルのブランジュリー。竈もあるコージーなダイニングスペースで、そこに少なくとも140名の礼讃者が集まった。アラン・デュカスを筆頭にした、パリの食業界の重鎮ばかりという顔ぶれである。
今回のメインテーマは、オーベルニュ・ローヌ・アルプ地方の山深い場所に、ポン・ドゥ・マルスという名の農場を経営し、質の高い豚を飼育するロレン・マルテル女史の仕事を讃えようというもの。ロレン女史は、パリにやって来たのは初めてという。何しろ普段は標高1100mのところにある農場で、豚の飼育に勤しんでいるのだ。
ロレン女史の豚を試食するというのも、今回の会の目的。彼女の豚を愛する生産者たちが、加工品や料理を振る舞った。農場そばの生産者ブシュリー・リジューのサラミや、クリストフ・ゲーズの生ハム。パリの総菜屋ジル・ヴェロの白ハム。2009年チャンピオン、ヨアン・ラストルのパイ包みのパテ。ホテル・コストの料理長ディディエ・コリのロースト。
私たちは、フレデリック会長が企画してくれた、この日を待ちわびていた。というのも、ロレン女史の飼育する豚の質については、食通のあいだで持ち切りとなっていたからだ。3つ星のジャックとレジス・マルコンは、ポン・ドゥ・マルス農場が近所にあるという僥倖を、どれほど喜んだことだろう。得意とする茸のソースに、これほど合う食材はないといってもいい。
ロレン女史は夫のマキシム・マルテルとともに、究極の味わいを求めた。ニュストラル、デュロック、あるいはマンガリッザという優れた品種を選抜し、自然に放って飼育をすることに決めた。農場は森のただ中にあり、天然水が流れ、空気も澄んでいる。さらに、求める味わいによって、交配も決定する。
友の会の会食者は、すっかりロレン女史の素晴らしい豚の虜になってしまった。美味な豚に、罪深い食欲をかき立てられたのだろうか。ブノワ・カステルのグルマンなデザート、イチゴをたっぷりとのせた濃厚なクレーム・エペスを、皆で奪い合うという始末。
食べることを愛する仲間たちの、愉快で活気溢れる昼下がりとなった。